〔展示〕
2014年6月13日(金)~18日(水)
12:00~20:00(最終日~17:00) ※木曜日休廊
「生成・破壊・復興」
今井新
スペースE
〔概要〕
ご存知だろうか。
月には沢山の人工物が置き去りにされている。
劣化して真っ白になったらしいアメリカ国旗や、数多くの探査機が朽ち果てている。
ここで注目すべきなのは、別にそれらは最初から月で稼働させようと
残されたものばかりではないということ。
計画失敗として衝突したものは勿論、廃棄として月に衝突させたものも数多い。
ましてや、探査機を月に衝突させることで舞い上がった粉塵を観測する実験まで存在した。
これはつい最近の話である。
そもそも宇宙開発とは核開発と並行して行われたもので、米ソ冷戦が開発競争を加速させた。
宇宙開発という先端テクノロジー、人類の輝かしい叡智の結晶は、
核戦争の想起というネガティブなものに常につきまとわれているのだ。
そうした冷戦期に作られた兵器が、地球ではなく月に多く存在しているのは何ともおかしな話で、
前述の通りそれらは月にそのまま廃棄されている。
想像力を膨らませてみよう。
そうして月に廃棄されたものからスラムが出来上がったらどうなるだろうか。
「地球の科学技術の結晶が降り注ぐ都市」と想像してみるとなんとも先端的なイメージが浮かぶが、
廃棄の度にクレーターができるほどの災害が起きることを考えると、
それは最悪なディストピアかもしれない。
このように、生成と破壊という両義的なイメージを基に浮かび上がる月面の都市像を、
「生成・破壊・復興」という三点から想像し、それぞれ作品化させた。
これらの作品(及びテーマ)から考えるべきことは、私のみならず多くの人が抱えていることだろう。