〔展示〕
2019年9月13日(金)~18日(水)
12:00~20:00(水曜日~17:00) ※木曜日休廊
「Filtering」
遠藤望恵、太田龍之介
スペースS
〔概要〕
祈りが分散される社会で、娯楽は自分で選ぶ傾向があります。
宗教観に曖昧な日本では特に、特定の神様は「推し」となり拡散していきます。
何故創作がしたいかわからず、わかろうともしない私達は覚束ない視点を肯定し、ありふれた自我を認めるしか生きる術がございません。「私達」という言葉も既に責任の所在が分散されています。悪しからず…。
何を遮断するのか決める必要性をフィルタリング・ポリシーと呼ぶらしいですね。
娯楽を選び取り、偏った知識で今日手に入れた土産をふるいにかけて分類します。
ハランスメントの概念が少しずつ市民権を獲得してきた昨今、自分とコミュニティに一枚、"何が"を隔てる距離感の意識が必須になってきます。
自分と他人の区別をつけ、尊重するように努めながら自発的に世界の見方を創り、祈るために色彩に執着する。
世界のみえかたを保管して誠意のある熱量で取り組むしかないのでしょう。
今回の二人展にあたって、iPhoneのモノクロ機能を使い、街を撮り、そこから彩度を見出してペインティングに起こす彼をお誘いしました。彼は撮りためた写真の画像や絵画作品、ドローイングの画像をPhotoshopを用いて、感覚的にremixさせていきます。そういったロックンロールというのでしょうか。不可測な即時性に富んでいます。
情報が加速する資本主義の時代に、イメージを纏わずに自尊心は獲得できない。
フィルターを隔て、それを通してものを視る。
濾過するもの。されるもの。癖と個性と方法論の間で自分が自分であることを何度も確かめるために、私達は無意識に何を求めて、何を排除しているのでしょうか。
安全性を目的に取り込んだものを記号化する、ネットと私達の性。ああ恐れ多い。
2019.7.23 企画、文章 / 遠藤望恵
Creator
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ENDO Moe / 遠藤 望恵
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OTA Ryunosuke / 太田 龍之介